※本ページは、東京大学広報誌「淡青」13号(2004.10)に掲載されているもので、東京大学関係者
 等の了承を得て掲載しております。

東大病院の運営体制の改革
-病院システムという新しい考え方の導入-

 わが国の医療は大きな変革期にあります。日本ではいかなる医療機関も安価に受診できますが、病院数が多いために、慢性的な人手不足にあります。このため24時間体制が必要な高次医療が必ずしも充実していません。この問題は医療機関の機能分担や資源配分と密接な関係があり、解決には病院の統廃合が必要です。病院が生き残りをかけた競争時代に入ったわけです。

 東大病院はこの十年間に900億円を投入し、施設を一新しました。ただし建築費はすべて財政投融資でしたので、毎年60億円を超える返済に追われています。現在の東大病院は借入金返済を含めて診療経費に年間約330億円が必要です。一方、病院収入は250億円ですので、差額80億円は運営費交付金に依存しています。しかし運営費交付金は病院収入の2%すなわち毎年5億円が五年間にわたって削減されます。改革を進めないと東大病院も淘汰されてしまいます。

 東大病院の使命は、医療の質や安全を確保しながら高度医療を提供することです。機能的運営にするために、大幅な機構改革を行いました。まず、病院諮問機関として病院運営審議会(病院ボード)を設置しました。これは、主要予算、人事、定員再配置、組織再編成について執行部からの諮問に答申し、執行部は答申を尊重して執行します。執行部はボードの指導のもとに、最終的な意思決定を行います。また、診療科(部)長に一年の任期制を導入し、適宜、体制の見直しができるようにしました。

 各診療科の運営は、外来診療運営部、入院診療運営部、中央診療運営部、医療評価・安全・研修部、企画経営部、人事部、教育研究支援部、広報企画部の八つの部の指導下に入ります。これにより各科(部)は病院の方針と調和しながら、役割を果たしていきます。科(部)の集合体であった病院に、病院システムという考え方を導入したことが大きな特徴です。この改革により東大病院はいくつかの目標を達成する必要があります。01安全、安心、思いやりのある急性期高次医療体制の確立、02診療経費の節減、03人材育成の充実、04新しい医療技術開発などです。

 改革は大きな痛みをともないますが、制約の多かった国立大学病院には好機でもあります。皆様のご意見を反映させながら、東大病院から日本の医療を変革する情報を発信していこうと考えております。


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