滋賀医科大学における経営改革

Ⅰ 財務分析プロセスの確立

1.財務会計ベースでの四半期毎の財務分析とそれに基づく財務施策実行プロセスの確立

  • 本学においては、四半期毎(6月末、9月末、12月末および3月末)の財務諸表を作成し、また、その時点での財務課題(教育・研究設備の補完、人件費不足等)を分析し、スピード感ある財務面での対応を実施しております。これにあたり、支払い伝票の締め日を毎月、翌月の15日に設定し、タイムリーな決裁処理が実現できるようなプロセスを確立しました。
  • これにより、3ヶ月毎に業績を数値で見ることができるようになりました。教職員には、あくまで「一生懸命」=「業績」ではなく、どれだけ最低限の支出で最大の教育・研究および診療活動を実施したかが業績であることを認識して頂けるように努力しております。(まだまだこれからという状況ですが。。。)
  • また、四半期毎に財務諸表を作成することで、事務職員の財務会計スキルをできるだけ早い時期に向上させ、法人化1年目の決算に備えておくことも想定しております。

(参考)四半期決算を実施していく中での Lesson learned
  本学が活用している財務会計の仕組み/システムでは以下の点が考慮されておらず、財務分析を
 行う上ではこれらに対する考慮が必要となる。

 ・運営費交付金、受託研究費等について、現在の国立大学法人会計基準に基づく処理では、過剰             
  収益化してしまうことに対する考慮
 ・賞与引当金、退職給付引当金、徴収不能引当金等、決算時に引き当てることを想定している引             
  当金に対する考慮
 ・四半期における未払費用


Ⅱ コスト構造改革について

2.コスト構造改革の実施

  • これまでの国立大学においては、予め決められた予算の範囲内で、教育・研究および診療活動用予算を策定し配分する、また、それを予定どおり執行するスタイルであったと拝察しております。法人化後は、収入と支出の状況を把握し、特に支出面では、予算ありきではなく、極力無駄を省く事で余剰資金を創出し、それを新たな教育・研究および診療活動の推進に資金配分していくスタイルに変更しました。
  • これは、教職員の意識改革も視野にいれており、「与えられた予算を使う」という発想から「自分達の業務に必要な資金は自らの努力で創出していく」という意識転換もねらっています。

(参考資料)コスト構造改革モデル

 ・本学はこれまで、国立大学という特性から歳入と歳出を常に合わせるようなコスト構造を確保             
  してきた。             
 ・しかしながらこのようなコスト構造では、いくら収入を上げてもそれに伴い支出が増加し、余             
  剰資金もなく、新たなサービス向上に向けた施策や学内教職員のがんばりに金銭面で応えるこ             
  とができない状況となる。                
 ・そこで、現在、無駄が生じているコスト領域を改善し効率化を目指すことで余剰資金を創出し、             
  その資金を基にサービスの質的向上を図れるような資金サイクルを構築することが必要である             
  と考えられる。


(参考資料1)医療費に関する対策

医療費に関する対策
[ 対策 ] 材料費に関する経費節減対策の実施


(参考資料2)病院収入に関する対策

病院収入に関する対策(続き)
[ 対策 ] 請求漏れ防止策の実施(入院)


Ⅲ 事務機能強化と意識改革

今後の事務組織を考える上で、以下の5つの視点に基づき、課題を検討していく。


(参考資料)事務機能強化と意識改革/主な成果

 人事面での対策効果(例)

長期的(中期計画期間)な人事戦略の確立とその実行
 ・コア業務/ノンコア業務の見極め<終了>
 ・コア業務に職員を、ノンコア業務に非常勤職員を配置していく方針
 ・人員再配置のタイミングは、定年退職者の発生時で随時
 ・中期計画期間終了時に現在と比較し、1億円程度の人件費削減予定

 効率面での対策効果(例)

民間企業出身者と各課の対話による業務改善実施
 ・コア業務/ノンコア業務の見極め<終了>
 ・随時業務改善の実行
診療経費率対前年度実質3%削減
 ・中期計画期間終了時に現在と比較し、1億円程度の人件費削減予定

 サービス面での対策効果(例)

各課のサービスレベル定義と目標管理制度導入
 ・指標としては、業務改善回数、各種提案回数、各課人員/一人当たり平均超過勤務時間、
  サービス満足度等

 意識向上面での対策効果(例)

各課からの提案に基づき変形労働制導入<次年度に向け検討中>
 ・超過勤務等の人件費削減の観点
 ・診療従事者のタイムスケジュールを考慮するというサービス上の観点



Ⅳ 病院経営改善施策実施

4.病院経営改善取り組み

 病院経営におけるバリューツリー分析を行い、それに基づく改善施策の設定とその実行状況をモニタリングしていくプロセスを確立し、改善を実施しております。

16年度ヒアリングに基づく病院目標課題の総括評価

■ 附属病院経営指標に基づくバリューツリーと分析・評価


■ 総括と今後の対応 [抜粋]

総括

 収入拡大について
 ・入院は在院日数を下げながら、新入院患者数を増やして、病床稼動率、診療単価ともに上昇
  の結果、収入は5.3%増。
 ・外来は患者数の減少を診療単価の上昇で補い、収入は7.4%増。
 ・一方、入院外来を問わず、MR撮影時間の20時までの延長、検体受け入れ時間の延長など、             
  患者サービス面の施策の実行が、収入面にも寄与したものと思われる。
 ・外来患者・紹介患者数ともに減少。救急患者数を除くと更に落ち込んでおり、今後の対策が             
  必要である。

 支出減について
 ・職員の専門性強化・業務の効率化面では、取り組み初期のものが多く成果を出すに至ってい
  ない。
 ・人件費は増となったが、診療報酬のアップを前提に診療直接部門にのみ増員し、職員生産性             
  は5.4%アップ。
 ・物件費の内診療経費率の逓減に取り組む。薬品及び診料材料費削減策が下半期フルに貢献し、             
  1.46%ダウン。

 体制整備について
 ・治験センター要員の強化(経験常勤者採用)実施
 ・リハビリテーション部の理学療法士1(11月から1名増の体制)、作業療法士1(1月から
  算定可)採用により4,026千円収入増。
 ・透析増床(5→7)、手術台更新、人口呼吸器増設ほか

 質・安全向上対策
 ・化学療法部の設置検討(17年度8月~稼動予定)
 ・救急受け入れ体制の整備(4C2床→5B4床)
 ・ナースコール、輸液・シリンジポンプ一部更新(17年度当初)


今後の重点対応

 広報活動の充実
 ・地域医療連携ホームページ充実(各診療科への直接リンク等)
 ・広報誌・パンフ充実
 ・後方支援病院の開拓

 患者サービスの充実
 ・予約センターの設置検討(一般対象も含む)

 業務の効率化
 ・オーダーエントリーシステムの円滑なる運営
 ・看護部・事務部門業務の効率化

 質・安全向上対策
 ・看護師の定着化策・雇用策の推進


Ⅴ 中期的な財務マネジメントの実施

今後の事務組織を考える上で、以下の5つの視点に基づき、課題を検討していく。

  • 法人化後は、単年度ベースの損益や資金を見ていくだけでは、事業の「継続性」、「永続性」の観点で不十分な部分もあり、少なくとも中期計画期間の損益予測、資金管理を行い、これに基づく施策を立てておくことが望まれ、本学では、上半期決算等の実績をベースとし6年間の損益予測、資金管理を策定しました。また、これについては、今後半期毎に見直しを行っていくことも想定しております。
  • これらの情報を元に中長期的な視点に立った財務マネジメントを実施していく予定です。

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