創刊号 平成18年06月01日


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創刊号(第1号) 平成18年6月1日

国立大 F&Mマガジン
(F=Finance、M=Management)

【(独)国立大学財務・経営センター メールマガジン】

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 新年度も二ヶ月が過ぎ、各国立大学法人においては、決算業務、概算要求、年度事業報
告など、息つく暇もない日々が続いていると思います。そんな状況の中、少しでもお役に
立てる情報を提供できればと、創刊号として発信いたします。

 また、皆様方には、創刊準備号をご覧いただき、配信希望ありがとうございました。
 まだまだ、多くの方々にご覧いただきたいと願っております。どうか、学内等の教職員
の皆様に広くご紹介いただきますようよろしくお願いします。

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【目 次】
・ 名称決定
・ イベント情報
・ 文部科学省情報
・ 財産管理・施設整備に関する情報
・ 研究部だより
・ コラム(科学研究費補助金の制度改正等について)
・ センター業務のご紹介
・ 経営情報(お願い)
・ お知らせ
・ 編集後記
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□ 名称が決定しました

 創刊準備号で募集しました「国大F&Mニュース(仮称)」の名称については多数のご
応募をいただきありがとうございました。いただきました名称案も参考に以下の名称に決
定しました。 
(名 称)
   国立大F&Mマガジンに決定しました。

 今後は「国立大F&Mマガジン」という名称で皆様に財務・経営に関する様々な情報
発信をして参ります。
 よろしくお願いします

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□ イベント情報

 ◇ 第32回高等教育財政・財務研究会
   平成18年7月8日(土) 14:00〜16:30
   学術総合センター 2階 中会議場1・2
    T 講 演:『国立大学法人の広報戦略(課題)』
      齋 藤 淳 一
      (株式会社電通IMCプランニング・センター ブランド・コンサルティング室
       経営・事業戦略コンサルティング部 シニアコンサルタント)

    U コメント
      市 川 照 l (金沢大学総務部広報戦略室長) 

 ◇◇問い合わせ先◇◇
    財経センター 経営支援課 企画調査係 
    Tel 03-4212-6310・6311 Fax 03-4212-6600
    E-mail jigyou1@zam.go.jp

※ 第31回の研究会にご参加いただいた皆様ありがとうございました。


 ◇ 報 告
 「国立大学法人等財務管理等に関する協議会」

 標記協議会を5月22日(月)23日(火)の2日間、全国から96機関財務部課長
等225名の参加を得て開催いたしました。
 お忙しい中、情報提供にご協力頂きました文部科学省関係者の皆様、北海道大学吉田
経理部長様に改めて御礼申し上げます。
 アンケートには、186名の方のご協力を頂き、9割を超える方から大変参考になっ
た、参考になったとの回答を頂いております。
 協議会の持ち方等に寄せられたご意見等につきましては次回開催の糧とさせて頂きま
す。
 また、資料に同封いたしました「質問事項用紙」に関しましては、協議会の内容に関
わらず受け付けておりますのでご遠慮なく送付ください。
 なお、協議会の説明ポイントを整理して、本センターホームページで情報提供する予
定です。


□ 文部科学省情報

◇ 財務会計に関する主な留意事項等について
              (文部科学省高等教育局国立大学法人支援課 菅原康宏)

◆ はじめに
 国立大学法人は、財務状況に関する説明責任を果たすため、企業会計基準を原則とし、
上場企業に準じた水準の財務諸表の作成・公開が義務付けられております。財務諸表は、
マスコミ等国民各般の高い関心を集めており、また、各大学において法人経営の重要な
基礎資料としてご活用いただいているものと存じます。
 現在、各大学において、平成17事業年度財務諸表の調製の最終段階にあると存じま
すので、それに関連して、特にご承知おきいただきたい事柄について説明いたします。
なお、説明が若干、技術的専門的となることをご容赦願います。

◆ 減損会計
 企業会計に遅れること1年、この4月より、固定資産の評価について減損会計基準が
導入されました。減損会計は、固定資産を適正な価額まで減額し、各大学の財務状況を
より実態に即した形で開示することを主な目的としております。
 各大学においては、会計規程を改訂し関連する細則の整備など、減損会計の導入にあ
たって必要となる規程、及び事務管理体制に疎漏がないか、今一度ご確認いただきたい
と考えます。
 減損会計の導入時に、減損対象となる固定資産を特定し、個々の固定資産毎に利用計
画の確認又は策定を行い、台帳等による管理を行う必要があります。また、導入時に減
損処理を行うべき資産があれば、即時に減損処理の必要があります。
 会計規程の改訂などの手続きを、年度終了後に遡及して行うことは不適当です。中間
決算に合わせて減損会計処理を試行するなど、十分にご準備いただきたいと考えます。

◆ 消費税
 消費税は、各大学毎に申告納付を行う仕組みとされております。一部大学に対する税
務調査を契機として、基本的な事務処理の誤りや、申告納付の前提となる内規と会計処
理との不整合などが発覚しました。そのため、消費税の基本的な仕組みや国立大学法人
特有の事務処理の周知徹底を目的として、5月中旬に実務担当者を対象とした「消費税
に関する説明会」を開催しました。
 消費税額の計算について、簡便な方法と税法本来の計算方法の2法がありますが、本
来の計算方法を選択して申告納付を行った大学は、運営費交付金等の使途内訳に係る大
臣承認を受ける必要があります。平成16年度の申告納付について本来の計算方法を選
択した大学については、消費税に関する事務処理について再確認をいただき、その結果、
使途内訳について変更が生じ、納付税額が変更となる大学については、使途内訳に係る
大臣承認の訂正を行いました。該当大学は、速やかに消費税の修正申告を行うようお願
いいたします。
 また、平成17年度の使途内訳に係る大臣承認については、既に各大学から申請いた
だいており、今月中旬を目途に大臣承認の予定です。
 平成18年度以降は、基本的に全ての大学において本来の計算方法により消費税額を
算定することとなりますが、使途内訳に係る大臣承認は、学内予算区分毎に財源をひも
付けし、予算差引簿と連動する財源管理簿等を整備いただくことが前提となります。
 なお、平成18年度以降においても、使途内訳に係る大臣承認に際し、申請いただく
範囲は任意であり、運営費交付金等の全額について使途内訳を明確にすることを義務付
ける趣旨ではないことにご留意願います。

◆ 決 算
 各大学から提出いただく平成17事業年度財務諸表は、7月中旬に国立大学法人評価
委員会 業務及び財務等審議専門部会を開催し、その意見を受けて大臣承認を行う見込
みです。また、財政当局と引き続き協議中ですが、剰余金の繰越承認の基本的な仕組み
は、昨年度と同様とする予定です。既に「財務諸表の補足資料」として作成を依頼して
おりますが、剰余金又は欠損の要因についてより詳しく説明いただくこととなりますの
で、各大学においては、要因の分析・把握を行っておくようお願いいたします。
 また、今後の変更があり得ますが、財務諸表の「利益の処分に関する書類(案)」の
作成にあたって、「財務諸表等の補足資料について(依頼)」「7.平成○○年度収入
・ 支出決算額調書」における、授業料前納収納分を調整後の「e 改 収入−支出」の相
当額として申請いただくようお願いいたします。
 また、国立大学法人会計基準に関する実務指針が改訂されておりますが、減損会計に
係るものを除き、平成17事業年度財務諸表から適用になりますのでご留意願います。
特に、附属明細書におけるセグメント情報及び一般管理費については、国民各般や会計
検査院などからも注目されておりますので、適正な情報開示をお願いいたします。
 なお、平成16事業年度財務諸表における誤びゅうを平成17事業年度財務諸表にお
いて修正予定の大学については、修正内容が簡潔明瞭に把握可能なよう適切な修正方法
によってください。

◆ 内部統制
 会計検査院実地検査において、内部統制が一つの焦点となっております。内規や組織
体制の整備は勿論、実効性の担保などについて独立行政法人等についても横断的に検査
しているようです。
 内部統制とは、@業務の有効性及び効率性、A財務報告の信頼性、B事業活動に関わ
る法令等の遵守、C資産の保全 の4つの目的の達成のために組織内の全ての者によっ
て遂行される業務過程(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」
(平成17年7月13日 企業会計審議会))と定義されております。当該草案による
と、内部統制の担保のため、業務活動に係るリスクを評価し、ITを適宜活用しつつ、
統制機能を確保のうえ、業務監査及び財務諸表監査、内部監査及び内部評価を実効あら
しめることが必要となります。
 各大学の規模や業務組織体制等によって内部統制のあり方は異なります。内部統制を
如何に担保していくか読者の置かれた立場に応じてお考えいただきたいと存じます。

◆ 財務諸表の活用
 財務諸表は、法人経営の重要な基礎資料として、よりご活用いただきたいと考えます。
 一例として、(ア)減価償却や減損損失処理等の非資金処理を適正に反映させた中間決算
により上半期終了時点における財務状況を把握のうえ下半期の計画修正を行う、(イ)平成
16事業年度と平成17事業年度の比較財務諸表を作成し、大学の志向と財務状況の整合性
の確認を行う、(ウ)同様の規模・学部構成の国立大学法人や私立大学と財務指標による
比較考量を行い、長所と短所を認識し、財務戦略の基礎資料とする などがあるかと存
じますが、その他、創意工夫を凝らしていただきたいと考えます。

◆ むすび
 国の財政状況の逼迫、総人件費改革など、国立大学法人を取り巻く環境は益々厳しく
なっておりますが、そうした状況下であるからこそ、国民各般に対し、国立大学法人の
運営にご理解とご協力をいただくよう積極的に情報発信し、一層、効果的・効率的に業
務運営を行っていく必要があります。
 財務諸表は、その格好の手段となり得ます。今後とも、十分にご活用いただきたいと
考えております。

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□ 財産管理・施設整備に関する情報

◇ センター債券の発行の仕組みについて〔@〕
 財経センターにおいては、昨年度、施設費貸付事業(国立大学附属病院設備整備)の財
源とするため、初めてのセンター債券50億円を発行いたしました。これはPFI以外で
は、初めて実質的に民間の資金が国立大学法人の施設整備に導入されたものとして、非常
に意義の大きいものでありました。
 このようにセンター債券の発行は国立大学法人の皆様にとっても、非常に関わりの深い
ものであることから、当該センター債券の発行の仕組みについて、今回より何回かにわた
り皆様にお伝えしていきたいと考えております。
 第1回目の今回は、次回以降の導入として「債券とは」「債券の種類」の2点について
お伝えします。

◆ 債券とは
 債券とは、国、地方公共団体、政府関係機関、金融機関、事業会社等が、不特定多数の
人から多額の資金を一時に調達する際に、利息の支払いや元本の返済などを約束して発行
する有価証券の一般的な総称です。
 債券と借用証書の違いは、「原則として途中で譲渡が可能」「多数の投資家から同時に
同一条件で資金調達が可能」などです。

◆ 債券の種類
 債券には、切り口によって様々な分類がありますが、発行者により分類すれば、以下の
とおり分類されます。
 ○ 国債・・・・・政府が発行する債券
 ○ 地方債・・・・地方公共団体が発行する債券
 ○ 特別債・・・・政府関係機関が特別の法律に基づいて発行する債券であり、以下の
          種類がある
   ・ 政府保証債(元利金の支払いを政府が保証している債券)
   ・ 財投機関債(政府保証がつかず、かつ、財投対象機関が発行する債券)※
   ・ 非政府保証債(上記2つ以外の特別債)
       ※ 財政融資資金からの借入を行っている機関を財投機関といい、セン
         ター債券も財投機関債に分類されます。
 ○ 地方公社債・・地方公共団体のみが出資し設立した法人が発行する債券
 ○ 金融債・・・・金融機関が特別の法律に基づいて発行する債券
 ○ 社債・・・・・事業債ともよばれ、民間の株式会社が発行する債券
 ○ 外国債・・・・海外発行体が日本で発行する債券であり、円建てのものと外貨建て
          のものがある

◇施設費貸付事業・施設費交付事業に係るQ&A 〔@〕

◆ 施設費交付事業
【Q】 施設費交付事業の営繕事業に係る概算払い請求は、何故交付決定額の全額を1回
    で請求することとなるのか。
【A】 営繕事業の内容は、国立大学法人等のキャンパス内の施設設備の改善整備や更新
    等であり、交付決定後の事情変更や契約金額の変更等により、当初予定していた
    計画を変更しなければならない頻度が多いものと考えられます。
    事業執行の計画変更は、変更内容によってセンター理事長の承認が必要なものと
    必要でないものがありますが、承認が必要なものは承認され次第、承認が必要な
    いものは変更の必要が生じた都度、国立大学法人等において機動的かつ、効率的
    に事業執行が行えるよう、センターにおいては、1回の概算払い請求で、交付決
    定額の全額をお支払いすることとしています。


            ◇◇本件に関するお問い合わせ先◇◇
                財経センター 施設助成課  林  明 夫
                   Tel 03-4212-6104 Fax 03-4212-6600
                   E-mail finance@zam.go.jp
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□ 研究部だより

◇ 国立大学法人の財務・経営の実態に関する全国調査
 2004年4月に導入された国立大学法人化制度によって、国立大学はこれまでの行政組織
の一部から法人格を有した経営組織体に移行しました。国立大学財務・経営センター研
究部では、法人化後1年経過した時点で、各大学の組織運営、財務、人事、施設に関して
変化の実態を検討するため、アンケート調査を実施しました。そのアンケート調査の結
果は中間報告書の形で近日中に出版しますが、ここではその一部をお知らせします。
 調査票は4部構成で、「T.組織運営」については各大学の学長に回答を依頼しました。
その他の「U.財務」、「V.人材」、「W.施設」については、各担当理事に答えて
もらうよう調査票を設計しました。年度末の多忙な時期にもかかわらず全86大学中84大
学が調査に回答し協力していただきました。ただし中間報告書作成段階で79大学のデー
タしか有効でありませんでしたので、ここではそれに基づいてお知らせします。このア
ンケート調査にご協力いただいた国立大学の学長、理事、事務局関係者の方々に、この
場で心より感謝の意を表したいと思います。

◆ 結果の概要
 本アンケート調査は、「組織運営」「財務」「人材」「施設」の4部で構成されている。
各部門において、各大学は法人化制度に対応するためさまざまな努力と工夫を行っている
ことが明らかとなったが、同時に自由回答などから大学の努力だけでは解決できない課題
も表明された。それぞれの回答結果の概要は以下の通りである。

T.管理運営の状況
 法人化を契機とし、国立大学でもトップダウン型の管理運営体制の整備が進められてき
ている。このような状況のもとで、各国立大学の管理運営に関わる諸側面に法人化が及ぼ
した効果について、多くの学長がプラスの評価を下している(特に「管理運営の合理化・
効率化」「大学の個性化」「組織の活性化」「教員の意識改革」「社会貢献活動の拡充」
など)。
 その一方で、「財務の健全性」「研究活動の活性化」「教育活動の活性化」については、
マイナスの効果が指摘され、下記のような意見が寄せられている。
・ 「効率化1%をかけられていることだけでも相当な負担なのに、今回の人件費削減は
 厳しすぎる負担・・・法人化は財務問題だといわれているが、不安が・・・現実のも
 のになりつつある。」
・ 「法人化により経営その他の活動に、役員はいうまでもないが、多くの教員の時間と
 活力を動員している現状を、どこまで続けていかざるを得ないのか、先行きが見えな
 い。この事実は大学の本来の目的である教育と研究の水準を著しく低下させている。」

U.財務管理の状況
 法人化前は各国立大学に対して国から所要経費分の財源が歳出予算として配賦され、授
業料収入等の収入は国の歳入に計上され、大学単位の収支均衡は求められていなかった。
しかし、法人化後は、経費を国からの運営費交付金と授業料収入等の自己収入で賄うこと
になり、収支均衡が求められる他、自らの資源管理及び獲得能力によって教育研究経費が
規定される。このため、使途制限のない運営費交付金と自己収入等を大学の戦略目的(中
期目標・計画)の実現のためいかに配分するか、及び国からの交付金が毎年度削減される
傾向下で、外部資金をいかに獲得するかが課題になっている。
 調査結果によると、法人化後は下図に示すように、全学的な目的に使用する経費や学長
のリーダーシップによる重点分野への経費や、学内競争的経費が大きく増大したのに対し、
教員への基盤的教育研究経費や部局の施設整備費が大きく減少していることが注目される。
つまり、国の重点配分及び競争的配分の政策が大学組織においても浸透している。今後は、
こうした配分によって大学全体の教育研究の質がどのように変化したかについて調査して
いく必要がある。また、文部科学省に対する概算要求に際しても、大学にとっての重要性
や中期目標・計画との整合性を重視するようになっており、戦略的な資源管理方針が定着
してきている。
 一方、外部資金獲得方針は法人化前と大きな変更はないが、寄附金獲得に全学的に取り
組んでいる大学が半数を超えるほか、産学連携推進本部等を多くの大学が設置し体制整備
を図っている。 


V.人材管理の状況
 人事担当理事を対象にした調査で明らかになったのは、各大学で経営組織を支える人材
不足である。まずもって専門性の高い職員が少ないことが表明された。図のように特に法
律・法規関係、組織・管理関係、人事・労務関係の能力と人数が何れも不足しているのが
明らかとなった。財務・会計関係の能力不足も表明されている。
 これに対処するため各大学の努力も本調査からうかがえる。職員の採用にあたっては、
職務上の専門性を重視していることが回答された。また各大学では職員の能力開発にもさ
まざまな形で取組んでいる。自己啓発の奨励・支援、学内研修の強化、が現在の中心的取
組であるが、今後は職員を大学・大学院の職員養成コース等の利用希望もあることが明ら
かとなった。
 自由回答では、給与制度の自由度の小ささ、業務量の増加、人材採用の困難さなど、法
人化後の数々の問題や不満が表明された。


W.施設管理の状況
 施設担当理事を対象にした調査では、各国立大学の施設担当理事が、自大学の施設の状
況に対する不満足の度合いが高いことが判明した。これは十分予想された結果である。こ
れを克服するため、いくつかの大学では、施設の新設・改修費の財源を文部科学省以外に
求めているなど工夫を凝らしている。さらに現有施設を少しでも効率的に使用するため、
多くの大学で施設マネジメント委員会を設け、利用状況調査等を実施していることも明ら
かとなった。学内施設を学内学外の利用者に開放し、収入を得ていることも多くの大学で
なされている。
 しかし新設・改修費用の多元化、現有施設へのスペースチャージ制の導入、施設マネジ
メント委員会の設置等、各国立大学のさまざまな努力と、現有施設の老朽度や耐震性の問
題には大きなギャップがあるように思われる。それは自由回答に表明されており、大学の
努力だけでは、施設の状況の改善はほとんど不可能ということが読み取れる。
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□ コラム「科学研究費補助金の制度改正等について」

 横浜国立大学で学術・国際課長をしている森と申します。今回のコラムを担当させてい
ただきます。

 今号では、先日開催された研究担当理事・副学長協議会や財務管理等協議会でも文部科
学省より説明のあった、科学研究費補助金(以下、科研費)の制度改善についての紹介を
交えつつ、国立大学をとりまく制度面について書きたいと思います。

 まずは科研費の制度改善の紹介です。
 科研費は政府の各種競争的資金の中でも使い勝手のよい研究資金といわれます。従来よ
り使用範囲の弾力化など各種の制度改善が行われてきましたが、さらに使い勝手がよくな
るよう、平成15年度より、交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事由により年
度内に事業が完了しない見込みのあるものについて繰越しが可能となる制度が導入されま
した。
 しかしながら、よく聞くのが、繰越し制度はあるものの、大地震が発生して物理的に研
究活動が不可能にでもならない限り繰越しは認められないのではないか、というものです。
本当は必ずしもそのような運用ではなかったのでしょうが、確かに、これまでは、繰越し
が認められるケースとしては、地震、機器の故障など「外的な要因」の発生により研究が
遅れる場合に限られていました(平成15年7月29日付け15文科振第276号文部科
学省研究振興局長・大臣官房会計課長通知「科学研究費補助金に係る歳出予算の繰越しの
取扱いについて」)。

 これに対し、例えば研究の進展そのものの状況など、外的要因以外による繰越しも認め
られるようにできないかとの声もあり、今回、このような要望なども踏まえ、担当部署の
ご努力の結果、繰越し制度がさらに弾力化されることとなりました(平成18年4月1日
付け18文科振第1号文部科学省研究振興局長・大臣官房会計課長通知「科学研究費補助
金に係る歳出予算の繰越しの取扱いについて」)。「外的な要因」に限らず、予期し得な
かった研究内容の進展・遅れにより研究計画を変更する必要が生じたケースへの繰越し制
度の拡大が実現したのです。

 これにより、例えば、次のような場合についても科研費の繰越しが可能となるようです。
・ 研究を実施していく中において、○○の事象が生じたことで当初予定していた成果
 が得られないことが判明したため、当初の研究計画を変更する必要が生じたことによ
 り、その調整に予想外の日数を要したため年度内の完了が困難となった。
・ 研究の進展に伴い、当初予想し得なかった新たな知見が得られたことから、その知
 見を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じたこ
 とにより、その調整に予想外の日数を要したため年度内に完了することが困難となっ
 た。

 なお、参考までに、今回の科研費補助金の繰越しの弾力化に関する文部科学省からの通
知のアドレスを付しておきます。
◎文部科学省通知 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/06032714.htm

 今回の科研費の制度改善は画期的といってよいものだと思いますが、これらの制度を私
達大学側も積極的に使いこなしていくことが必要だと思います。国立大学法人制度のメリ
ットや、今回の科研費の例のような進展した制度改革をまだまだ十分に活かし切れていな
い部分もあるのではないでしょうか。例えば、学生の海外における研究活動を支援するた
めの独自の奨励金制度を私の大学では創設したのですが、そのことについてある大学から
国立大学法人制度上許容されるのか、という問い合わせを受けたことがあります。これは
一例ですが、本当は大学の裁量で可能なことでも制度上不可能だと思い込んでいることも
意外にまだまだ多いのかもしれません。

 また、制度を使っていく中で、ここがこのように改善されればさらに教育研究活動が進
めやすくなるのに、と感じることもあるかと思います。そのような時には、感じたことを
制度を所管している部署に伝えていくことも必要なのではないでしょうか。私達は制度の
ユーザーです。制度も一般の商品と同様に、ユーザーの声に耳を傾け、ユーザーと供給者
が対話をしていくことにより一層磨かれていくものだと思います。例えば、保健医療分野
の科学研究費補助金や政府の各種委託研究費等の資金交付時期が早期化されれば研究の一
層の効果的・効率的推進が期待できます。このようなことに対して私達としても声をあげ
ていくことも大切なのだと思います。

 なお、自由になった制度を使いこなしていく上で気をつけなければならないこともある
と思います。それは、自由化や裁量の拡大といっても、それは国に対して大学の裁量が拡
大したということであって、決して対社会的に全てが自由になったわけではないというこ
とです。したがって、予算の執行など自由度が高まった大学運営にあたっては、規則、要
項等の目に見える形で学内ルールを定め、その自ら定めたルールに基づいて適正な業務実
施を行っていくことは当然必要なのでしょう。科研費等についても弾力化した使用が可能
となった分、一層襟を正して使用していくことが求められているのだと思います。国から
自由になった分、大学が社会に対して直接説明責任を負うようになったということではな
いでしょうか。

 科研費の話をしましたので、その関連でもう少々。この科研費、近年伸び率が急激に鈍
化しているようです。科研費により基礎研究を支えていくことは我が国の科学技術の発展
のためには欠かせません。特に、政府の第3期科学技術基本計画の中心的なキーワードと
なっているイノベーションの創出のためにも、科研費は重要な役割を担っています。また、
科研費と同時に不可欠なのは運営費交付金等の基盤的経費です。研究者の自由な発想に基
づく研究活動の多様性や、それらを次世代に伝えていく教育活動がこれらの資金よって確
保されてこそ、その上にイノベーションが生み出されてくるのだと思います。
 
 しかしながら、これら科研費や基盤的経費の重要性は必ずしも社会に伝わりきれている
とはいえないのが現状だと思います。とかく短期的な成果にばかり目が向きがちな昨今の
社会的風潮にあって、これらの重要性をわかりやすく、粘り強く社会に訴えていくことも
私達の責務ではないでしょうか。ノーベル化学賞を受賞された白川英樹氏は、受賞のきっ
かけとなった研究は基盤的経費によって支えられてきたと述べています。各大学において
も基盤的経費や科研費の支えがあったからこそ花開いた研究成果があるでしょうから、そ
れらも例にするなどし、あらゆる機会を捉えて社会の各方面に教育研究活動の基盤を支え
る経費の重要性をアピールしていくことが必要ではないでしょうか。声に出さなければ伝
わらないことも多い、と思います。

 国立大学が法人化していよいよ3年目に入りました。多くの大学において、法人化1年
目は法人への円滑な移行に労力の多くを割き、2年目は法人制度において何が可能なのか
を模索し、3年目の今年が法人化のメリットを活かした取組を本格化&飛躍させるという
状況なのではないでしょうか(もちろん一方で人件費も含めた経費改革への取組への苦労
もあると思いますが)。本年度は法人化の真価が問われる1年なのだと思います。ぜひと
も国立大学法人制度をはじめ各種制度を使いこなし、積極的な大学運営をしていきたいも
のだと思います
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
□ センター業務の紹介 @

◇ 学術総合センター講堂・会議室等について(利用方法など)
 当センター(東京連絡所)が入居する学術総合センタービルの1,2階に、500
人以上収容可能な一橋記念講堂から、10名前後での利用に最適な会議室まで、様々
な利用形態に対応出来る会議室等があり、その管理を当センターが行なっております。
 国立大学法人等は、ご利用の1年前(1年前の月の初日)から、施設の有効活用の
観点から、一般の方もご利用の4ヶ月前から予約受付を開始しております。

 現在のご利用までの流れは次のとおりです。
 @事前の仮予約     お電話、ホームページで受付しております。
 A利用申込書の提出   ご利用内容が確定次第ご提出下さい。請求書を発行致します。
 B利用料金のお振り込み 利用料金は全て前納となっております。請求書記載の入金期
             日までにセンター指定銀行口座にお振込下さい。
 C利用承認書の発行   利用料金をお振り込み頂き次第、利用承認書を発行致します。
               この承認書が無いと会議室の鍵が借りられませんので、
               利用当日は持参下さい。

◇◇会議室等の紹介と予約状況、仮予約の受付は、当センターホームページ
http://www.zam.go.jp/e00/e0000800.htm )をご覧下さい。
 ☆お問い合わせ : 会議室利用案内窓口
  TEL 03−4212−6321(平日9:00〜17:00)
  FAX 03−4212−6300

(新たな予約システム構築しています。今しばらくお待ちください。m(_ _)m )
 現在のところ、お申込みには数回の書類のやり取りを必要としておりますが、イン
ターネット上から直接利用申込が可能となる、新たな予約管理システムを構築中です。
 このシステムでは、初回に「利用者登録」をして頂く必要がありますが、毎回の申
込書記載が省略出来るなど、利用者にやさしいシステムを目指して鋭意構築中
です。

⇒⇒ 次回は、CIC(キャンパス・イノベーションセンター)を紹介します。

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□ 経営情報(お願い)
 当センターは、「国立大学法人等に対する財務・経営に関し協力・助言を行う。」こ
とが中期目標で示され、中期計画において「国立大学法人等の財務・経営の改善につい
て、各大学が抱える共通課題について、その処理実績を収集し、情報の提供を行うとと
もに、個別問題の解決のため、求めに応じ、経営コンサルタント等の民間実務者による
経営相談など、協力や専門的・技術的助言を行う。」こととしております。

 このため、経営情報として広く情報を提供すべく、経営改善、取り組みの事例を収集
しております。ぜひ、改善事例や取り組み例などご紹介いただける事例がありましたら、
自薦、他薦を問いませんので、よろしくご協力お願いいたします。

 また、先日、開催いたしました「国立大学法人等財務管理等に関する協議会」におい
もお願いしました説明事項に対する質問や経営相談に係る質問についても受け付けてお
りますので、是非、質問をお寄せください。

 事例紹介、質問送信先 e-mail seminar@zam.go.jp  
 
経営相談フォーム  http://www.zam.go.jp/l00/l0000100.htm

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□ お知らせ

 ◇ 天野郁夫先生の名誉教授授与式を実施
   平成18年5月18日、本センター会議室において、天野郁夫先生(前国立大学財
  務・経営センター研究部長)に対し、遠藤理事長から当センターの名誉教授の称号が
  授与されました。

 ◇ 国立大F&Mマガジンへの投稿について
   編集室では、各大学の事例紹介や読者のみなさまからの投稿を受け付けています。
     投稿は  E-mail h-manago@zam.go.jp までお願いします。
 ※ お手続き等については、真子(まなご)03-4212-6301までお問い合せください。

 ◇ 国立大F&Mマガジンの配信について
   ご希望の方はお手数ですが、次のアドレスにメールをお願いします。
     E-mail mail-maz@zam.go.jp

 ※ 現在の配信希望  829件 (2006.05.31現在)

※ 今後、メルマガ配信に当たっては、専用システムの整備を予定しています。シス
 テム整備後は自動受付による配信となります。現在、登録いただいている方は自動
 的に新システムに移行(登録)いたします。

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□ 編集後記(M)
 平成18年度も早くも2ヶ月が過ぎ、4月から新しくスタッフに加わった職員のみなさ
んもずいぶんと学内の雰囲気にも慣れてきたのではないでしょうか。
 本センターのメルマガの名称も「国立大F&Mマガジン」となり、今号は、文部科学省
の菅原専門官、横浜国立大学の森課長に寄稿いただきました。
「国立大F&Mマガジン」が、国立大学法人等の情報の広場として広く活用いただけるよ
うに編集室一同、頑張っていきたいと思います。
 また、読者のみなさまからも、ぜひ大学のご紹介や、個別の投稿をお待ちしております。
 どうぞ、よろしくお願いします。

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□ 編集・発行
   編集長:(独)国立大学財務・経営センター総務部経営支援課長
   発 行:(独)国立大学財務・経営センター総務部経営支援課 編集室
         〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
         TEL 03-4212-6310・6311
    ご意見・ご要望は、経営支援課長に直接どうぞ
      E-mail h-manago@zam.go.jp
    メールマガジンの配信希望は次のアドレスにメールを
      E-mail mail-maz@zam.go.jp

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